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第19回アジア・アフリカを知る集い「アジア・アフリカの言語生活」まとめ

 

講師 アジア・アフリカ図書館長 西江雅之先生

 

4月23日(土)に第19回アジア・アフリカを知る集い「アジア・アフリカの言語生活」が開催され、多くの参加者がお見えになり、楽しい時を過ごされていました。

質疑応答など話題が盛り上がり、全体的に大変盛況でございました。時間も延長され、皆様興味深く聞き入っておられました。ここに簡単にまとめをいたしましたので、いらっしゃれなかった方など、御参考になればと存じます。

 

アジア・アフリカとは、それを語る立場によって話題の領域が異なります。地理、政治経済、スポーツなど、それぞれの範疇で語られるアジア・アフリカがあります。その領域は多面的に広がっています。たとえばブラジルにも日系人が住んでいます。アメリカ西海岸には中国人、ベトナム人、韓国人が多く住んでいます。このように、アジア・アフリカからは大量の人々が国外に出ているのです。たとえば古い時代から世界各地に居住している華僑は良い例です。アフリカでは、モザンビークにも、南アフリカにも中国人街があります。

人種、文化、言語が一致している例はごく一部で、モンゴロイド、コーカソイド、黒人などという分け方は抽象的です。ミルクに一滴でも墨が入ると黒人であるとされ、青い目のアラビア人も珍しくありません。

少数民族とは何か、と言いますと、アメリカでは日系人は少数民族でも日本国内には一億以上の日本人がいるわけです。また、ユダヤ人はどこの国に行っても少数民族ですが、世界中では大変な人数になります。

次に「言語の枠組み」についてです。全く違って見える言語でも、類縁関係があり、過去のある時代に分かれて来たものであることがあります。英語、ドイツ語、フランス語などと、ペルシア語、ヒンディー語は文字が違うだけで同じインド・ヨーロッパ語族です。また、言語の数ですが、世界には8500から1万種くらいと言われています。中国語のようにひとつの言語で数億人話しているものもあれば、地球上にはあと一人しか話さない言語というのもあります。カリフォルニア州だけで、1番が英語、2番がスペイン語ですが、ネイティブ・アメリカンの言語だけでも40から50種の言語が話されています。しかし、15年以内には確実にその半分以上は消えると言われています。親の言っていることが分からない子どもも増えています。

~語と呼ばれるものには、地域変種(方言)dialect (s)、と対応表現(社会方言)sociolect(s)、があります。日本のように“標準語”がある国は少ないのです。

また対応表現では例えばカリブ海域には、かつて男女で話す言語が異なっているものさえありました。日本語の赤ちゃん言葉は、お母さんが赤ちゃんに向かって言う言葉ですが、最近ではテレビやお母さんたちの会話を聞いたりして、それを真似るようになってきているので赤ちゃん言葉は減ってきました。

さて、公用語というのは、その国で法的根拠のある言葉です。地方語は各々の土地で一般的に使っている言葉です。

母語と母国語の違いについてですが、例えば、貧しい地域の人々が他の地域に長期労働で行くとすると、その人たちの子どもは行った先の言語が母語になり、母国語が出来ないという状況になります。母語が出来ないのは病理的問題であり、母国語が出来ないのは社会的問題です。インドやフィリピンでは英語は外国語ではありません。アジアでは、例えば仕事場では英語を使い、家では違う言語で話すというのは当たり前で、日本や韓国のように生活の全域で日本語、韓国語というのは珍しいことです。ダイグロッシア(diglossia)というのは、インドやアルジェリアなどの都会では普通に見られる例ですが、話題によって言語の種類が変わることがあります。学校関係の話は英語、悪口はヒンディー語になったりすることです。これを二言語使用社会におけるテーマ別の使い分けと言います。

ここでバイリンガルのアイデンティティ問題があげられます。二言語一文化は興味の表し方が英語で話しても、日本語で話しても同じである場合を言い、二言語二文化は日本語で話したならば日本人的、英語で話したら英語人的になる場合を言います。

次にピジン(pidgin)語、クレオル(Creole)語について考えてみます。日本人とアメリカ人が話す場合は、日本語でとか英語でとか、どちらかの言語で話します。チェコ人と日本人が話す時は、どちらかの言語か、英語など第三の言語で話します。ある場合そこに新しい言語が生まれることもあります。これがpidginです。ハイチなどのように、それが広がり、広い地域で母語として話されるようになると、その言語はクレオル語になります。

最後に言語というものの仕組みについて触れておきます。

日本語の音素の数は36ほどですが、メラネシアには10数種という音素の言語があります。クルド語などでは40種以上の音素があります。意味については、英語の場合はI love you.は単語がありますが、スワヒリ語では小さな意味単位が連なります。言語の中には、単語は声調で違う意味になる例が非常に多くあります。中国語はその一例です。

 

その他、ここではご紹介できない沢山のお話がありましたが、割愛させていただきます。

 

この集まりでは、アジア・アフリカの興味ある話題を選んで紹介します。是非、次回のアジア・アフリカを知る集いにいらしてください。メールアドレスがわかっている方はメールにてお知らせいたしますし、そうでない方は、ホームページ上で掲載いたしますので、お電話をいただければ申し込むことができます。次回も宜しくお願いいたします。

 

(2011.5.18 アジア・アフリカ図書館 司書 佐藤万矢子)