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寒山寺の烏は夜鳴くか [図書館関連]

 

「寒山寺の烏は夜鳴くのか」とは、アジア・アフリカ図書館に寄せられた一般の方からのご質問で、レファレンスとして対応した。

寒山寺は中国江蘇省蘇州にある臨済宗のお寺で、日本人には観光地として有名。冒頭の質問は、寒山寺に石碑がある唐代の詩人・張継の「楓橋夜泊」(ふうきょうやはく)に関するものである。日本人にも馴染みのある漢詩で、その拓本がお土産として売られている。

 

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さて、質問の主旨はその解釈についてである。夜に烏が鳴くのはおかしかろう。蘇州の地図を見ると烏啼山(うていざん)という山がある。「月、烏啼に落ちる」と読むのが正しいのではないのか、という疑問である。
調べてみると、この七言絶句の解釈については「月落烏啼」の箇所だけではなく、宋代の歐陽脩(おうようしゅう)が「夜半鐘声」の箇所について「夜に鐘をつくことはない」と指摘するなど、よく知られた論争がある。

寒山寺の周辺には山がないこと。烏啼山という名前は「楓橋夜泊」が有名になってから名付けられたものだという理由により、人口に膾炙した「月落ち烏啼いて」が通説になっている。夜につく鐘についても、唐代には夜間でも時刻を知らせるための鐘があったと、その論争は決着しているようだ。ちなみに、寒山寺で「除夜の鐘」を聴く越年ツアーなるものがあり、大晦日の境内は日本人で溢れんばかりだそうである。

図書館では、蔵書に関する問い合わせの他に、この類いのレファレンスサービスにも応じている。回答のための調査を外部に委嘱しない限りは無償である。
有償ではあるが、翻訳の依頼も受けている。利用して頂きたい。

 

(常務理事 木村、2010/11/15)